2020.1.4
サプライチェーンマネジメントの方向性
2020年に未曾有の社会変容をもたらしたCOVID-19によるコロナ禍は、企業活動にも大きな影響を与えました。
仕事では、在宅勤務が多く用いられ、オンライン会議も一気に一般化しました。ビジネスでは、接触の多い業種は苦しく、一方でこうした環境に適した製品・サービスを提供する業種では、むしろビジネスが伸びているという会社もあるようです。
こうした中、企業経営者のサプライチェーンに対する関心は高まっています。2020年6月1日の日本経済新聞では、工場をもつ会社の社長88人の7割以上が、「サプライチェーンを見直す必要がある」と回答しています。具体的な対応として、「危機発生に対応して柔軟に調達先を変更できるようにする」「特定国への集中を見直し分散化を進める」について、それぞれ6割前後の方が必要と回答しています。
もう一つ、サプライチェーンに関する非常に重大な関心事が、米中摩擦です。この動きにより、有力なサプライヤーは、生産場所を変更したり、これまで支えていたツールの利用が制限を受けたりというような影響を受けることがありそうです。これらは、そのサプライヤーのユーザー側にとっては、安定した調達物の入手にかなりの制限となる可能性があります。
東日本大震災、それに続くタイの洪水と未曾有の大災害の続いた2011年以降、安定的に継続した調達物の入手の方策は、より精緻に立案・実行されるようになってきました。しかし、今回もこれまでとは違ったリスクの顕在化により、新たな対応策の立案・実行を強いられそうです。
サプライチェーンへの関心は、もともと在庫の削減やコストの低減といった財務的成果に集中していました。現在は、これらに加えて、CSRの問題、そして上述したリスクが大きな関心を呼んでいます。今後、サプライチェーンマネジメントと呼ばれる領域では、財務、CSR、そしてリスクを3本柱として活動していく必要があります。